中耳炎・耳だれ・耳の痛み
A 漢方のとらえ方
西洋医学的には耳は耳鼻咽喉科に分類されます。解剖学的な耳と鼻とノドのつながりに着目した分け方です。
漢方では古代中国の人が観察して経験的に法則性を発見していますが、その五行説(ごぎょうせつ)では、耳は鼻やノドとはバラバラに取り扱われ、耳は腎(泌尿生殖器と脳)のグループに所属すると考えます。又、耳は単独に存在する訳ではないので、耳だけでなく全身の状態も精神状態も全て考慮に入れてとらえます。(下の五行色体表のグレーの所が全部耳に関係がある腎のグループです。)
又、漢方では急性・慢性という分け方だけでなく、症状をきめ細かく分析します。
痛みの有無・炎症・浸出液(内耳にたまった水及び耳だれ)・耳鳴り・難聴の程度の他、風邪や喘息・鼻づまり・足の冷え・のぼせ(口渇・口唇の乾きなど)・肩コリ・首すじのコリ・胃の調子(胃の症状や食欲の有無など)もきめ細かくチェックして、一人一人の中耳炎の漢方的原因を探し治療作戦を立てます。
五行色体表
ごぎょうしきたいひょう
臓
腑
五色
五味
志
官
体
木
肝
胆
青緑
酸
怒
眼
筋
火
心
小腸
赤
苦
喜
舌
血脈
土
脾
胃
黄
甘
思
口唇
肌肉
金
肺
大腸
白
辛
悲憂
鼻
皮毛
水
腎
膀胱
黒
鹹
恐驚
耳
骨=歯
B
治療作戦
@
漢方薬
=私は、急性期で痛い時・耳だれが出ている時・慢性中耳炎を繰り返す等、ケースによって処方を使い分けています。勿論、胃の調子や体力を考慮に入れ、更に消炎効果のあるものや耳が所属している腎のグループの力をつけるものを併用します。西洋医学では抗生物質の治療が柱となる様ですが、耐性菌(たいせいきん)の問題があります。漢方には抗生物質の代りになってしかも長期間安全に続けられる生薬もあり、とてもよく効きます。
(尚、
抗生物質についての私の考え方と抗生物質の代わりになる物は、ここをクリック
してご覧いただき、参考にして下さい。)
A
針灸
=@耳のまわりから側頭部には、胆経(たんけい)と言って胆のうにつながるツボの流れが通っている他、A耳の形に沿っては、三焦経(さんしょうけい)と言って漢方独自のとらえ方をするツボの流れが通っていますし、B耳の前には小腸経(しょうちょうけい)と言って小腸につながるツボの流れの終点のツボがあります。針灸師でもある私は、背中や肩・首のコリをほぐしたり、足もとの冷えと頭部ののぼせがワンセットで出ている『冷えのぼせ』状態をうまく改善する治療を針灸で行いますが、@の胆経は足の薬指に・Aの三焦経は手の薬指に・Bの小腸経は手の小指につながっていますので、これらの指先を刺激したり、耳のまわりの圧痛点に金属のツブをはったりする方法は誰にでも出来ますので、自宅で出来る色々な方法をお教えしています。
中耳炎(急性・慢性)に対して漢方治療(漢方薬・針灸)を行うと、耳だれがどんどん排出される事があります。
これを見てほとんどの人は“悪化した”と思うのですが、実は逆。
『悪い物を追い出して治ろう』という『漢方は排泄の医学』の現象としての耳だれ
ですから、とても良い事・うまくいっている事なのです。漢方薬だけの人にも・漢方薬と針灸を併用した人にも「耳だれがどんどん出る」という症状が起き、その結果急激に良くなり、その後全く再発せずに5年〜10年〜20年という人が何人もいます。
私は「家の中の生ゴミと同じく、いつまでも体内に置いておくのはダメ。早く外へ捨てて、中をスッキリさせる事が何よりの解決法なのよ」と説明しています。
C
早く治す為の工夫
@
耳が所属する腎のグループは、[寒=冷え]に弱いので、衣・食・住で冷やさぬ工夫が必要です。
くつ下は必ずはく事。腰の保温も大切なので、寝る時は腹巻きをしましょう。
体温より温度が低い飲食物は内蔵を冷やし、身体全体を冷やしてしまいます。工夫のコツは、私の本『どんな病気もみるみる治る 漢方流食生活』(東洋出版)をご覧下さい。
シャワー入浴は身体の芯まであたたまりません。
夏でもクーラーで身体は冷えているので、必ず湯舟につかりましょう。
A
腎のグループの中心は泌尿器(腎臓と膀胱)ですから、水分を沢山摂ると腎臓・膀胱の仕事が増えて疲れてしまい、『腎虚』(じんきょ=腎のグループ全体の機能低下)になってしまいます。すると、更に耳が病気になり易くなってしまいますから、水分(水・飲み物・果物・生野菜など)は出来るだけ控え目に。
更に、水分が欲しくなってしまう「塩分の摂り過ぎ」も要注意ですね。
詳細は、私の小冊子『水分の摂り過ぎの害・点滴の害』をご覧下さい。
※上記の『腎虚』については、詳しく解説するページを後日作成し、リンクいたします。
B
足の「腎経のツボ」を刺激する事・肩首背中のコリをほぐす事も、中耳炎を早く治したり再発を予防するコツです。
イラストの場所をローラー針でコロコロ刺激するといいですよ。
(H13.7.23 記)
文:古村和子
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